2016年7月19日火曜日

サラリーマンを定年退職した人に資産運用が必要か?

 アーリーリタイアを目指していても、家族の事情や仕事の都合などで結局、60歳の定年退職までサラリーマンを続ける方も多いはず。

 そういう方は、何の準備もせずに定年を迎えたサラリーマンと違い、ある程度のまとまった資金を持っている上、退職金も満額手に入るので、かなり充実した老後準備が出来ていると思われますね。




 とすれば、延長雇用で65歳まで働かなくても、老後生活にそれほどの不安はなく、夫婦で旅行三昧を楽しむのも好し、趣味に没頭するも好し、「悠々自適」の生活が待っていると言っても過言ではありません。

 一方で、十分な老後資金を準備できないまま定年を迎え、「退職金を運用して少しでも増やさないと先行きが心配だ」と焦っている方も多いでしょう。


 いずれの場合でも、口座に多額の現金が貯まると、銀行や証券会社はなかなか放っておいてはくれず、投資信託などのしつこい勧誘が襲ってきます。


 長い投資経験があり、多くの失敗を積み重ねながらも市場で生き残ってきた方なら、金融機関の甘い誘いに簡単に乗ることはないでしょうが、「仕事一筋で、投資経験ゼロ」というケースは要注意。

 特に、ここ数年のアベノミクス相場で日経平均が急上昇したのを見て、「退職後にはオレも一発やってみよう」と思っている方が結構、多いのでは?


 と言っても、そういう投資初心者の方は、何を買えばよく分からないため、結局は銀行や証券会社から勧められるままに高い手数料のかかる投資信託や外貨商品を購入し、十分にリスクを理解しないまま保有し続けた挙げ句、7~8年に一度はやって来る相場の大暴落で虎の子の退職金を吹っ飛ばし、途方に暮れる恐れも。


 昨年、日経平均が高値を付けた頃にNISAで投資を始めた人などは、現在、多額の含み損で沈み込んでいるはずですが、その中には上述のような退職者も多いはず。


 もちろん、日本株などが再び上昇相場になり、大儲けが出来ることもあるでしょうが、もしも、7年以上も上昇し続けてきた米国株が大崩れし、世界の相場が本格的な調整に入った場合、雪だるま式に膨らみ続ける含み損に絶えることができるでしょうか?

 資産が3分の2、下手をすると半減したりして、いつ回復するかも分からない状況に陥れば、押しつぶされそうなストレスの下、想像もつかないほどの陰鬱な日々を送らなければなりません。


 サラリーマン時代なら、毎月、給料が入ってくるので、じっと我慢の塩漬けでもなんとかやり過ごせるかもしれませんが、ほぼ年金以外の収入がない老後となれば、気が狂うような苦しみを受けるのは確実。

 こうなると、退職前に描いていたバラ色の老後ライフは霧散し、何をしても楽しくない地獄のような晩年を過ごすことにもなりかねないのです。


 将来のインフレや円安懸念を考えると、「投資をしないリスク」があるのは確かですが、投資初心者が虎の子の退職金をいきなり株や外貨に投入し、大儲けできるほどマーケットは甘くありません。

 定年退職を迎えれば、残りの余生は長くて30年。
 男性の健康年齢は70歳少々ですから、自由に旅行したり趣味を楽しめるのは10年ほどです。


 さすがに75歳くらいになれば、それほど活発な活動ができなくなるでしょうし、衣類や趣味への支出も大きく減るでしょうから、年金だけの生活でも十分ではないでしょうか?

 私は、「投資」で儲ける(というか、負けない)ための心得は、「如何に自分の欲望を抑えることができるか」にあると思っていますが、資産の運用機関が限られる定年退職者の場合、どうしても「早く儲けたい」という焦りが出てしまい、ついつい過大なリスクを取ってしまいがちではないでしょうか。


 イロイロ考えると、定年を迎えたら、よほどの自信がない限り、「投資をしない勇気」も必要という気がします。

 そういう私も、欲望を上手くコントロールできているわけではなく、思わぬ損失を被ったことが結構あります。


 早期リタイア系ブログを見ると、うまくリタイア生活を送っている先輩たちの中には、ほとんど資産を日本円のキャッシュで保有し、株などのリスク資産は最小限に留めている方が目立つような気がします。

 みなさんは、どうお考えでしょうか?

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