2019年10月22日火曜日

台風19号被害で考えたこと

 先の台風19号による豪雨などで各地で大きな被害が出ました。
 被災した方々が一日も早く立ち直り、復旧が早期に進むことを願っています。

 ただ、今回の災害を契機に、未然に人命被害を減らす「根本的な方策」をもっと真剣に検討する必要があるのではないでしょうか?

 「根本的な方策」とは、究極的には被害が出る可能性が高い地域に人が住まないことです。




 昨年の西日本豪雨による水害もそうでしたが、河川の氾濫による浸水被害が起きた地域の多くは、自治体がつくっているハザードマップを見れば、いわゆる「危険地域」と言える場所だったわけです。

 温暖化の影響からか、日本にやってくる台風はどんどん強力になっていく模様。
 「50年に一度」と言われるような強い勢力の台風が昨年、今年と連続して日本列島に上陸、大災害をもたらしました。

 今後、「50年に一度」の台風が毎年のように襲ってくるだけでなく、もっと強力なスーパー台風が日常的に襲来する可能性も十分あると言われています。
 台風ではない豪雨についても、過去に比べてとんでもない量の雨を短時間に降らせるようになってきています。


 一方で全国の自治体は自分の市町村の人口を増やすのにやっきになり、本来は土砂崩れの危険が大きかったり、洪水被害が出やすい土地の開発を野放図に許してきました。


 これでは、いくらハザードマップをつくって警戒を呼びかけてみても、もともと人口増加(による地方税収増)と引き換えに、「住むべきではない土地」に人々が居住するのを助長してきたことによる人災だった、と非難を受けても仕方がないのではないでしょうか?

 日本全体として人口が減少し、国家の経済力が衰えていく中、現在、人々が居住しているすべての地域を洪水から守るための堤防、遊水施設などを建設するのは事実上、不可能です。

 そんなことをすれば、現在、国や地方が抱える天文学的な額の負債に加え、後世の世代にさらに莫大な負の遺産を残すだけでしょう。


 では、我々はどうすれば良いのか?

 答えは簡単で、危険な地域にはできるだけ住まないようにすることしかありません。


 「先祖代々の土地だから」とか、いろいろこだわる方もいるでしょうが、家族の命の方が大切でしょう。

 不動産取引ではハザードマップをもっと有効に活用し、人々が出来る限り安全な地域に住むように促していくのが行政の役割と言えます。

 危険な地域に住宅を建設するのを防ぐための立法措置も必要であり、危険な地域の不動産売買には何らかのペナルティを課す工夫も検討課題です。

 さらに、安全な地域ほど税制上の優遇措置が受けられるようにすることも必要ですね。


 こうしたことは、地震についても検討されるべきかも知れません。


 「自分の不動産価値が落ちる」ということだけを心配するのではなく、長い目で見て命を守る選択をすべきなのは明白なのですが、国や自治体の責任者の知恵と力が真に試される課題です。


 日本は地震、台風、豪雨など、本当に自然災害が多い国です。

 しかし、こうした厳しい自然が美しい国土や景観を造りあげてきました。

 ここに住む以上、災害との共存が求められますが、これまでの対策はかなり場当たり的な対処療法でしかなかったのではないかという疑念が沸きます。

 専門家や政治家が集まって知恵を寄せ合い、本当に数百年先のことを念頭に、抜本的な措置を取っていく時期に来ているのではないでしょうか。

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